朝、学校を出る前に家に電話がかかってきた。

「はいもしもし。」

母は電話に出る。
私は、おばあちゃんかなあ、とか思いながら呑気に歯を磨く。

「ええっ…え…どこにいるん!?」

母は慌てる。どうしたのだろう、おばあちゃん倒れたのかな…。

「ちょっと出る!!あんたもついてくるか!?」

慌てて問いかける母。

「どしたん?なんなん?」
「お父さん首吊ったはったって…!」

またか…。
でも今日は様子がおかしい。
いつもの未遂であることを祈りながら、とりあえず学校に行くことだけを告げた。
このときからもうわかっていたのだ。
だけど、まだ、信じたくなかった。

バス停で待っていると友達がやってきた。
いつもの朝、安心できる材料を探す。

バスの中でぽつぽつと喋った。

もしかすると、無事かもしれない。
そんなことを思った。

学校に着くと、先生がなにやら言っている。
どうやらタクシーに乗れ、ということらしい。

タクシーに乗り、医療センターへ向かう。
タクシーの運転手が「お大事に」と言った。

病院に着くと、母が職員に付き添われ泣いているのが見えた。
このとき「ああ、ダメだったんだ」と悟った。

「あかんかったんか」

私は至って平静を気取りながら母に問いかける。
母は泣きながら頷いた。

頭がはっきりしない。
石をぶつけられたみたいに、ぐらぐらする。

背の高い男の人が数人来て、私達になにかを言う。
「○○さん、、ですね?」

はい、と答えると、男の人は自分が警察から来た事、検死をすることを言った。
母が私から少し離れたところへと行って話をする。

しばらくすると父の兄にあたる叔父さんがきた。
叔父さんは遺体を見るなり大きな声で泣いた。

代わってやれるものなら代わってやりたかった、祖母が言う。

ここらへんから意識がはっきりしなくなったからあまり覚えていない。

そんなわけで、私の父は自殺した。

だけど父は最期まで闘った。
欝やパニック障害、不安神経症と最期まで闘った。

苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて、それでも最期まで闘った。

苦しかったんだね。
ごめんなさい。気付いてあげられなかった。

なんで気付いてあげられなかったんだろう。
もっと気をつかってあげればよかった。

今日がお通夜で明後日が葬式だ。
家業のこともあり、親族だけで行うことになった。


さくらちゃんにメールすると、すぐに電話がかかってきた。
「なにもできなくてごめん」と言ってさくらちゃんは泣いていた。



夢見てるみたい。
なにもかもがぼやけてみえる。

コメント

nophoto
ソルバルウ
2007年11月25日0:02

初書きになります。
あの・・・、「父が死んだ」って本当のこと・・・なんですか!?
このブログを偶然見て、一応気になったもんで、コメントしてみたんですが・・・。

陽香
陽香
2007年11月25日20:57

コメントありがとうございます
ほんとうのことですよ

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